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June 22, 2004

赤福に見る勇気

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「『赤福』に見る勇気」
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●皆さんは、赤福というお餅をご存知でしょうか? 駅のキオスクなどに
 並べられているあのピンク色の包装紙に包まれたお菓子のことです。
 日本には100年以上の歴史を誇る企業が約6200社ほどあると言われてい
 ます。その中でも赤福という会社は約300年という長い歴史を守り抜かれ
 てきました。もちろん、その長い歴史の中で企業存続の危機もあったわ
 けですが、創業理念を守りとおすことで見事に克服されたわけです。
 今回はそのあたりのエピソードをお伝えする中で、企業における勇気あ
 る決断について考えていただけたらと思います。

●赤福さんの商いは、西暦1707年、伊勢の旧参宮街道筋の茶店としてスタ
 ートしました。長旅を続けてきたお客様に、つきたての熱いお餅と、炊
 き立ての餡を差し出し、熱いお茶とともに食べてもらったのが始まりだ
 そうです。お客様からとても人気があり、疲れが取れたと喜んでいただ
 いていたようです。創業以来、改良を重ねながら、その時代時代で、得
 られる最高の原料を使い、心を込めた製法で作ることに徹してこられま
 した。現在も、一番大事なのは、良い原料を調達することと考え、これ
 が仕事のうちの4分の1の比重を占めていると聞いています。

●赤福の名前の由来は、「赤心慶福」という4文字に起因します。「赤心」
 は生まれたての赤ん坊の心。汚れのない心、真心と解釈ができます。
 「慶福」というのは、福を慶ぶ。真心を持って事にあたれば、幸せは自ず
 からやってくるという意味です。その頭と尻を取り、「赤福」と名づけた
 ようです。そして、この商品を取り扱ううえで、常にお客様に新しいもの
 をお届けしたい、原価を安くし、値段を上げないという姿勢を掲げました。
 そのために、「3つ余分に売ろうとするよりも、1つも残すな」と、現在
 風の社訓のような形で社員に戒めていると聞いています。

●現在、キオスクの売店を含め、販売箇所が300カ所ぐらいあります。大阪、
 京都、名古屋を結ぶ線からはみ出さず、毎日商品管理ができる範囲で止め
 ているのです。そして、各販売箇所を1日に最低4回は巡回し、商品調整
 を行ないます。売れ行きの良い販売店は、4回に止まらず、5回、10回と
 まわることもあります。「売り切れを是とし、売り残すなかれ」という形
 で、腹八分の販売で我慢をしていこうという考え方です。

●赤福で原料として使用している餅米、砂糖、小豆のどれ一つ取っても当時
 は贅沢品でした。そして昭和19年になり戦局が悪化すると、原料が底をつ
 いてしまったのです。闇市場でなら買うことができたそうですが、普段の
 5倍、10倍の値段が付く時代でした。しかし、闇で原料を買うぐらいだっ
 たら、赤福を売る必要はないと断固として製造、販売を拒否されたのです。
 そこで潔く、のれんを降ろす決意をされました。何と潔い、勇気ある決断
 だと思われませんか。その後、当時40人ほどいた従業員を休業させ、その
 人達に一定の休業補償を与えながら、自宅待機をしてもらったと聞きます。
 その資金を得るのに、2つの支店の土地建物を売却。なおかつ、当主家に
 あった別荘2つを売り、苦難の時代をしのいだわけです。

●その後ほぼ6年も店閉めていたわけですが、40人の従業員には給与を払い
 続け、守ってきたというのはすごいことだと思います。環境さえ整えば、
 いつでも店は再開できます。そのときに職人の方々がいなければ、何も売
 ることができません。だから、働いてくれる人々をことさら大切にしたの
 だと思います。この考え方は、今でも脈々と受け継がれ、苦労してきた人
 達が定年を迎え、社を去って行くときに、「社祐」「準社祐」という形で、
 会社独自のいわば年金制度のような形を採用していることも特筆すべき点
 だと思います。

●これまでに述べてきたように、船井流の「勇気」とは、「良心に従い、良
 いと思うことはすぐに行い、悪いと思うことはすぐに中止する」ことと考
 えています。赤福の事例に見る「勇気」は類稀なる経営判断であるとは思
 いますが、皆さんにとっても大いに参考になるものと思います。

                  (船井幸雄談、文責・佐野浩一)

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Tracked on July 10, 2004 at 04:51 PM

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